南構陣屋（香取市小川）

　　＊南構陣屋の場所。

　南構陣屋は、小川地区の東寄り、医王寺の南辺りにあったという。

　現在、医王寺の南側は宅地となっており、遺構らしきものもまったくなさそうである。

　それに対して、医王寺は周囲を土手に囲まれており、土塁などが残されていて、城館的な雰囲気を残している。

　特に西側の土塁の内側に石積みが築かれているのが印象的である。医王寺そのものも中世段階では居館であったか、あるいは武装寺院のようなものであったのかもしれない。

　というわけで、城館的な雰囲気を残しているのは医王寺の方である。陣屋との関係は不明だが、城館的な雰囲気はある。

　なお。医王寺から西側に進んだところの民家には立派な長屋門があり、脇には土塁も構築されている。こちらも近世の名主屋敷か何かであったかもしれない。いずれにしても南構陣屋の遺構の範囲から外れてしまっているので、なんとも悩ましいところである。




　南構陣屋の歴史についてはよく分からない。『千葉県所在中近世城館跡詳細分布調査報告書』にも「近世陣屋」とあるのみである。

　南構という変わった名前にも興味が惹かれるのだが、詳細は不明である。

医王寺北側の土手。	南東側の土塁状部分。
医王寺脇の土塁。	南側の土塁の内側には石積みが見られる。
土塁。	医王寺から西側に離れたところの立派な長屋門のあるお宅にも土塁が見られた。